終わってしまった恋というのは、まるで枯れ落ちた木の葉のようだ。
 色褪せて、干からびていて、光沢がない。こうして手に力を入れてみれば簡単に破けてしまう。びりびり、ぱらぱらと。粉々に砕け散ってしまったそれを、私は息を吹きかけてふわりと風に乗せてやる。バラバラになった木の葉は穏やかな風に舞い、周囲の景色にとけて消えてしまって、誰にも見えないところへと隠れてしまった。
 こんな時に君が、私の隣にいてくれたら、君はなんて言うかな。
 それは違うよ来ヶ谷さん、と笑って私を否定してくれるかい?
 だとしたら、私はそれにきちんと笑みを返せるだろうか?
 
 なぁ理樹君、とても胸が痛いよ。

 

 

 

 

「二月というのは、勝負を仕掛けるのにいい季節だと思わんか、真人君?」
 その言葉を聞いてオレは絶句した。慌てて腕を前に構える。
 いつものように突然メールで呼び出され、しぶしぶやってきた裏庭。そこにこの黒髪の美少女はいて、オレを待っていた。
 オレがやって来たのがわかった途端、イーゼルの向かいの椅子から立ち上がり、怪しげな笑みを浮かべて唐突にこいつはそんなことを言ってきたのだ。
 思わずバックステップで距離を取ったオレを、この怪しげな女――来ヶ谷唯湖はきょとんとした目で見つめ返していた。
「なぜ君がそんなに警戒するんだ? 私はなにか今、おかしいことを言ったか?」
 どうやらまったく気づいていないらしい。オレは腕を構えて、身震いしながら言った。
「あ、あんなメールを送って来たやつが、会っていきなりすぐにそんなことを言い出してきたら、誰だって身構えるだろうがよ!」
「ふむ? メール? ――ああ、そういうことか。なるほどなるほど」
 自分の携帯の画面を開き、来ヶ谷はやっと得心、といった顔をする。
 ちなみにそのメールの内容とは、
 
 『件名:緊急  裏庭にて待つ。キサマ一人だけで来い』

 という謎の果たし状めいたものだった。
 その果たし状を受け取ったオレは、これが本当は、またいつもの作戦会議のことだとわかっていながらも、びくびくと戦慄きつつ思わず筋肉を震わせてしまった(二重表現)。
 そんな状態のまま、あんなふてぶてしい笑顔で出迎えられたら、誰だって実は罠で、これからオレは闇討ちされるんだ――と思うしかない。
 なのに来ヶ谷は少しも悪びれた様子もなく、すました顔で続けた。
「安心するがいい。今ここで君に決闘を申し込むつもりなどないよ。――というか、私は今までだって同じようなメールを君に送ってきたじゃないか。なにを今さら君はそんなにびびってるんだ」
「お、オレをびびらす気がねぇんだったら、もっと平和的な文体にしてくれよっ! 顔文字一つ最後につけるとかよ! てめぇのこの闇討ちメールを連日もらってるせいで、オレの筋肉はとっくに縮みっぱなしなんだよ! 超迷惑だっつーの!」
 来ヶ谷は、そんなことどうでもよさそうに、冷えた眼差しでオレのことを睨んだ。
「キサマの筋肉のことなど知るか。私は用件だけを簡潔に伝えたいタイプなんだ」
 だからテメェのは簡潔すぎんだよ! オレをストレスで殺す気か!
「こまごまとした感情表現などは性に合わんし、この私が顔文字などを打っても不気味なだけかと思うが」
 オレはそう言われてみて……実際にそんな光景を想像してみた。
 この女が仮に、メールで(´・ω・`)などの顔文字を貼りつけてきたら……?

 『件名:緊急  裏庭にて待つ。キサマ一人だけで来い(´・ω・`)』

 うおぉぉぉぉ……。
 シュールすぎる光景に危うく噴きそうになる。
「む……?」
 こ、これは緊急なんてもんじゃねぇ! 一大事だ!
 こいつの顔が(´・ω・`)になんてなってるところを想像したら、別の意味で慌てて駆けつけるしかねぇ!
「なにか、失礼なことを想像しているなキサマは……」
「め、滅相もございません! (´・ω・`)ショボーン……としてる来ヶ谷さんなんて、全然っ、これっぽっちも想像してません!」
「は? ショボーン……? なんだそれは? なにか釈然としないものがあるが……ま、まあいい。許してやろう」
 来ヶ谷は少し恥ずかしそうに首を振る。ふぅ……意外とこういうネタには疎いんだな。助かったぜ。
「私だって落ち込むときぐらいはあるだろう。そんなときは、きちんとメールの文に気持ちを滲ませておくから、君はそれを見て全部察しろよ」
 無理だっ!
「まぁ、もう私のメールの件はこのくらいでいいだろう。取りあえずそこに座れ」
「……い、いいっつの」
 古ぼけた木の椅子を指差されるが、オレは遠慮して目を逸らす。
 来ヶ谷は呆れたように溜息を一つ吐き、テーブルの向かい側の椅子に腰掛けた。
「まったく。君はいつもそうだな……せっかくこんな美麗な女子生徒がお昼に誘ってやっているというのに、君はそこに腰掛けたことすらない」
「昼飯、なんかあんのかよ」
「ちょうどここに私と葉留佳君が朝食べ残した分のパンの耳が大量に」
「本気でいらねぇよ……」
 残念そうな顔をして、ごそごそと袋を鞄にしまい込む。つか、ちゃんとパンの耳まで全部食ってやれよ。お嬢様かっつーの。

 
「……おい、なにをする気だ?」
 コーヒーを飲んで一人お茶会気分を味わっていたこいつは、オレの挙動を見て怪訝そうに眉をひそめた。
 オレは体を伸ばして、ストレッチをしている。
「昼飯なら、さっき謙吾の野郎と食っちまった。暇だからここで食後の筋トレでもしてる」
「またそれか……」
 来ヶ谷はつまらなさそうに口を尖らせ、コーヒーの缶に口をつけた。
 オレは念入りに柔軟を繰り返しながら、振り返って呼びかけてみる。
「んだよ。お前もやるか?」
「ふん、冗談じゃない。誰がそんなことをするか。裏庭で隠れて筋トレし合っている男女を想像してみろ。間違いなく変態だ」
 オレはそんなふうに思わねぇけどなぁ……ロマンがあっていいと思うぜ。フレンドシップ・オブ・筋トレ。あれ、ウィズだっけか……? まあいいや。
 筋肉を鍛え合うことによって生まれる絆があったって、オレは全然いいと思う。おや……おたくの腹筋、なかなか綺麗に割れてますね。ならばどうです? ちょっとそこの茂みで一緒に筋トレシップでも? おや、いいですね。ぜひご一緒させてください。しかしあなたの上腕二頭筋も、素晴らしく綺麗に光っていますね……。はは、そうでしょう? とか。
 まぁ、こいつがそんなセリフを吐くところなんてまったく想像できないけどな。むしろ夢に出て来ちまったらどうしよう。まずい……そうしたらこいつの顔、もう二度と直視することができねえ……。
「ふん。いつも君はそうだ。こっちの話を聞く気がないのか?」
「あー、いや……話を聞く気ならあるぜ? だが、考えてもみろ。オレの一番話に集中しやすいスタイルってのはどんなだ?」
 言いながらスクワットを始めるオレを、来ヶ谷は不機嫌な目で眺めている。
 今回のスクワットはもちろんサイレントバージョンだ。紳士淑女用に、話をしやすいように掛け声をほぼゼロにしてある。動作によって生まれる物音も、理樹の訓練によってほぼ完璧にシャットダウンすることに成功した。これで一体なにが不満だってんだ。
「……だって、一度くらいは、私の相手をしてくれたっていいじゃないか……」
 だが、心臓が止まった。
 当然、動きも硬直する。
 滅多に聞いたことのないこいつのか弱い声に、オレの身体は完全に固まってしまった。
 思わず耳を疑い、恐る恐る、そちらの方を振り返ってみる。
 すると来ヶ谷は、途方もない悲しみの海に沈んでしまった表情で、こちらの方を心細く見つめていて……ふと、それに目が合って、心臓が一気に跳ねた。
「……なんてな」
「へ?」
 だがその直後、してやったりと口をつり上げる来ヶ谷がいた。
 それに再び硬直するオレ。
 そんな馬鹿な様を見られたことにこいつは大いに喜び、またもや楽しそうに顔をほころばせた。
 ああこれは、もしかして、もしかしなくとも……。
「ふははははっ。いいっ、実にいい顔じゃないか、少年。その寸止めで餌のお預けを食らった子犬のような表情……切なさが十分滲み出ているな。最高だ。だが、これでわかっただろう? 淑女をないがしろにすると、男というのは往々にしてこういう目に遭うのだよ。君もこれからは気を付けろ」
「え……あ、ああ……」
 空っぽの返事しか返せないオレを見て、こいつはとうとう狐みたいなほど目を小さく細めて笑い、ぴん、と片手で向かいの椅子を指し示す。
 うっ……思わず座ってしまった……ちくしょう、オレとしたことが……。
「さて、落ち着いたところで早速議題に入るが――っておい、ちょっと待て、なぜ目を逸らす?」
 オレの目には今、冬枯れの景色と真っ青な空が映っている。
「なんでもねぇよ……」
「なんでもなくはないだろう。君は人と話すとき、いつもそうやってそっぽを向くのか?」
「多分、向かねぇと思う……」
「だったら何故……、って、ああ……そういうことか。うむうむ、なるほどな。君は本当にウブで可愛いやつだな。まるで本当に子犬のようだよ」
「くっ……」
 視界の端に映る来ヶ谷の顔に、みるみる意地悪い笑みが浮かんでいく。
 ちくしょうめ……馬鹿にされてるってわかってるのに、顔を正面に向けられねえ。もし今こいつの顔を直視しちまったら、きっとオレの顔はトマトみたいになって爆発しちまうのかも。
 こんなに近くにいると、いい匂いも漂ってくる。なんだこいつ、香水でもつけてやがんのか? シトラスみてぇな甘い香りがする……頭が変になりそうだ。
 くそっ、離れたところにいりゃぁ、筋トレでもやりながら普通に話せるってのによ。こんな近くでどうしろってんだ!
「ふふふ……どうした、みるみる顔が赤くなっていくじゃないか。おねーさんの魅力にメロメロになってしまったのか? だったら困ったな……私は理樹君という心に決めた人がいるのに」
「る、るせぇ! 今日もどうせ理樹の話だったんだろ!? だったらとっととやって終わりにすりゃぁいいじゃねぇか! オレだって暇じゃねぇんだ! こうやって遊んでるだけだったら、もう帰るぜ!」
 嘘だった。
 実はさっきからずっとここを離れようとしているが、うまく体が動いてくれない。見えない糸で縫いつけられたみたいに、椅子から立ち上がれない。
 別にオレの力なら、体を動かそうと思えば動かせるのに。なのにオレはこうやって座って目を逸らしたままだ。
 一体、なんだってんだ……わけがわからねえ。
 そしてふと横を見ると、来ヶ谷はだんだんと笑顔を消していって、最後には真剣な顔になっていた。
「ふむ。まあ、その通りだな。昼休みの時間は有限だ。君のことも可哀想だし、この辺で止めておいてやるか」
 やっとこのおかしな攻撃から解放されたことに、オレはほっと溜息をつく。
「さっきも話したとおり、この二月は色々と勝負の季節になると私は踏んでいる。なぜだかわかるか?」
「豆まきとかか?」
 クールな話題に移ったことで、オレの緊張も少し和らいできた。顔をだんだんと正面に戻して話す。
 だが来ヶ谷はずっこけて、頭をテーブルに打ち付けていた。
「な、なぜそうなるんだ……」
 いや、なぜって言われても。二月でバトルって言ったら、アレしかねぇし。
「二月のイベントと言ったら、まず最初にアレが来るだろう! もっと重要で、ポピュラーな話題だ!」
「いや、だから節分バトルのことだろ? ちょうどいいぜ、もう明後日になるのか……ちなみにな、去年の節分優勝チームは理樹と謙吾チームだったんだ。今から猛特訓して、あの二人をぶっ倒そうって腹なわけだろ?」
 オレが力強くサムズアップしたところに、真正面から拳骨が飛んできた。
「ぶっ!?」
「あ、アホかキサマは! そんなどマイナーなイベントのことなど知らん! 私が言っているのはバレンタインデーのことだ!」
「あ? あ、ああー……」
 額をすりすりと撫でながら、オレは生返事を返した。
 んだよ……勝負っていうから、てっきり豆まきバトルのことかと思っちまったじゃねえかよ。それなら確かにいい季節だと思ったのに……。あ、でもそれじゃ、こいつと理樹には関係ねーか。
 こいつが今悩んでいるのは、理樹との恋の問題だったっけ。自分で言っておきながら赤くなってる純情なこいつをどうどうとあやす。
「私が今赤くなってるのはキサマのせいだ!」
 あ、そう。オレに怒ってるからってことね。すみません。
「で? バレンタインデーのことがどうしたって?」
「はぁ……はぁ、ん? ああ……二月十四日にはバレンタインデーがあるだろう? 健全な少年少女には恐らく、一年間で一番大事な日だ」
 多分違うと思う。そもそも、その健全な少女ってのは一体誰のことだ?
「そこで私は本気の勝負を仕掛けるつもりでいるのだ。もちろん、相手はあの理樹君だ。私は、そこに過去の全てを賭けるつもりだ……」
 組んだ手に顎を乗せて、来ヶ谷は真剣な面持ちで己の覚悟を語っている。
 ってーことは、その勝負っていうのは、やっぱ……。
「こ、告白、するのだ……理樹君に」
 オレは、思わず目を見張った。
 てっきり恋愛下手なこいつだったら、チョコを渡してそれで終了かと思っていたのに。その勝負っていうのも、すげぇ気合い入ったチョコを作るとか、そういうことだと思っていた。
 この状況を終わらす気が……ちゃんとこいつにあったってことに、オレはものすごく驚いてしまった。
 だが当の来ヶ谷の瞳は、そう言う割にぐるぐると危ない渦を巻いていて、どこか別の次元を見てしまっているようにも見えた。
 いや、ちょっと大丈夫なのか、こいつは……。
「こっ、告白するんだ……それで、全てを終わらすんだ……私の気持ちも……あの人の気持ちも……今まで失われてきた、全ての過去の形も……」
 あー……やばい、トランス状態に入ってやがる。こいつは普段は冷静だが、恋愛や感情方面のことになった途端ものすごい馬鹿になるんだった。忘れてた。
 オレはおずおずと手を上げてみる。
「あー……ちょっと、いいか?」
 ふと正気に戻った来ヶ谷が、熱を引いてこちらを見上げる。
「その、告白するってーのは大いに結構だが……それについての勝算はあんのか?」
「……えっ」
 ぽかん、と間抜けな顔をする。
 やっぱりそうだこいつは。告白すればそれでいいとか思っていやがった。
「理樹は意外に結構人気あるんだぜ? 親しい間柄からは特に好かれるタイプだからな。それについての対策はあんのか?」
「う……」
 唸り声を上げて、そっぽを向いてしまう。なんとなく面白くなさそうな顔だ。
「対策など、ない……」
 口を尖らせていじけている来ヶ谷を見て、オレは盛大に溜息をついていた。
「あのな、来ヶ谷……」
「う、うるさいうるさいっ! 私と理樹君の愛さえあれば、必ず告白は上手くいくのだ! そのシチュエーションも考えてある。告白のセリフもっ。特定の条件さえ揃えば、私が他の女子に遅れを取ることなどないのだ!」
 上擦った声で喚いて、思いっきり虚勢を張っている。ガキかこいつは……。
 だがその子供っぽいこいつの言い分も、まったく少しもわからないわけじゃなかった。
 来ヶ谷ははっきり言って、すげぇ美人だ。端整極まった氷の彫刻みてぇな顔の造形といい、ファッションモデル並に引き締まった身体のスタイルといい……おまけに頭脳も意味不明なほどに明晰で、美少女揃いのリトルバスターズの中でも、女性の魅力的には頭一つ抜きんでているような気がした。
 スタート地点は、どこの誰よりもこいつは負けないんだろうが……。
「そりゃ、仮にお前のことを理樹も好きでいてくれたらの話だろ。もし理樹が他のやつのことを好きだったらどうすんだよ」
「むぐ……」
「それにお前がいくら他の女子からリードしてたって、もし先を超されちまったらもうしょーがねーだろ。あいつ、結構義理堅いとこあるからな……注意してねぇと、すぐ誰かに取られちまうかもしれねーぞ?」
 だんだんと言い募っていくうちに、みるみる来ヶ谷の表情が暗く沈んでいく。
 あ、しまった……別に責めるつもりはなかったんだが、つい強く言い過ぎちまったか……意外と純情なこいつには、結構今のは堪えたかもしれねえ。
 だが……ぜってぇ、理樹とこいつは、必ず最後に結ばれなきゃならねえだろ。未だリトルバスターズの中で救われてねぇのはこいつだけなんだし、オレの今までの努力が全部水の泡になっちまう。
 どうしたものか……とオレが頭を悩ませていたところ、ずっと顔を伏せていた来ヶ谷が、なにかに閃いたように突然、ばっ! と顔を上げた。
「そうだ……!」
「は?」
 あ、やばい。またなんかくる。眼が怪しく底光りしている。
「私は少し……冷静さを欠いていたかもしれん。いざ告白ということで、ちょっと頭が熱くなりすぎていたようだ。こんな良い手段を見落としていたとは……」
「そ、それは?」
 たじたじになってオレが聞き返すと、来ヶ谷は不敵に笑って勢いよく席から立ち上がった。
「ふっ、なにも皆と同じ時間に正々堂々勝負することなどなかったのだ。先を超されるのが心配だと言うのなら、バレンタインの前の日に告白を済ませてしまえばよかっただけだ!」
「え……えぇぇ――――っ!?」
 い、今までの前フリはなんだったんだ!? 来ヶ谷は、危ない探偵のようにツカツカと歩き回りながら続ける……。
「それならば私が負けることなどあり得ないだろう? ……ふふふ……やばい、とんでもない妙案を考えついてしまった。こんなチート的な裏技的手段、私以外考えつく者もいないだろう。すなわち、この勝負はもう完全に私のものになったということだ……」
 い、いや……そうなんだろうか。
 というかこれはもう、もはや勝負なんかじゃないような……それに本当にテメェだけだろ、こんなアホらしいズルを考えつくのは。
「そこで君に頼みがあるっ!」
「えっ、お、オレ!?」
 勢いよく指を指されて、思わずオレはどもってしまう。
 来ヶ谷はそのまま力強く頷き、
「こんなこと頼めるのは、君しかいないんだ……」
 と、信頼のこもった眼で見つめてくるのだった。
 そして、そんな詐欺くさい熱い眼差しに騙されてなんとなくそれを承諾してしまったオレは、帰ってからそのことを本気で後悔すると共に、マジでこいつに勝算なんかないのだと悲しく悟ったのだった。 

 

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